力士は決して「デブ」ではない

「太っている」こととは、「体脂肪がたくさん身体についていること」「体脂肪率が高いこと」と定義しました。

それでは、腸間膜周辺にたまった脂肪も、皮下脂肪も全くないほうがいいのかというと、決してそんなことはありません。

どちらの脂肪も身体にとって重要な役割を担っています。

腹腔内の脂肪には、腎臓の後ろ(後腹壁脂肪組織)にあって、腎臓をショックから守るクッションの働きをしているものがあります。

また、皮下脂肪は体の熱が外に逃げるのを防ぎ、外部の熱を遮断して直接内臓に伝えないなどの働きをしています。

もし、皮下脂肪が少なすぎれば、身体は外気の影響をそのまま受け、気温の上昇・下降に合わせて体温も上下してしまい、生理機能に支障をきたします。

ですから、脂肪組織は身体にとっては必要なものなのです。

また、力士やプロレスラーは傍目からもみても巨体ですから、どうみても痩せているとは言い難いでしょう。

また、他のスポーツ選手同様に体脂肪率が10パーセント以下で、そのほとんどが筋肉かというと、必ずしもそうではありません。

幕内力士の平均の体脂肪率は23.5パーセントだそうで、決して体脂肪率が低いとはいえません。

しかし、よく考えてみてください。

体重が160キログラムの力士ならば122キログラムが除脂肪体重(体重から体脂肪を除いた体重)になるのです。これは驚異的なことだとは思いませんか。

また、力士はごく一部を除けば、内臓脂肪型の力士はいないそうです。

つまり、体脂肪のほとんどが皮下脂肪によるものだということです。

そしてこのことは彼らにとってはすごく大切なことなのです。

力士やプロレスラーは常に対戦相手と身体をぶつけ合いますね。

このときに皮下脂肪が身体衝突の衝撃を和らげる、いわば緩衝剤の役目を来たすのです。

従って、力士やプロレスラーにとって体脂肪は重要なプロテクターとなっているわけです。

どうですか、彼らは決してただのデブ(許して!)ではないことがおわかりでしょう。

やはりプロ選手は見かけではないんですよね。

それに、体脂肪率が23.5パーセントならば決して肥満ではありません。

一般的に肥満と考えられる体脂肪率は25パーセント以上なのですから。

彼らは、必要十分な筋肉の上に、脂肪の鎧をつけた輝ける戦士なのです。

ジョギン30分は、たったのご飯一杯分

よく女性向けのダイエット雑誌などには「あなたが一日に必要な摂取カロリーは?」とか、「何をどれだけ、どのように食べることが大切」といった項目をみかけます。

確かに、どんなに運動しても、必要以上に食事をとれば絶対に痩せません。

ジョギングを30分ほどしても、実はご飯茶碗1杯分のカロリー(160キロカロリー)しか消費しないのです。

ビール大ジョッキー杯なら、約280キロカロリーものエネルギーがあるのです。

当然、がんがん飲みまくるあなたはどんなに運動しても痩せません。

しかし、私の経験ですが、1日20キロメートル以上の距離を週5回走ればどのような食事をしてもまず太ることはありません。

でも、このような生活は一般のサラリーマンにはできっこないですよね。

ですから、食事制限はダイエットには必要なのです。

これらの内容は第5草で詳しく述べますが、最初に書いたように、男性と女性の体脂肪のつき方は根本的に違いますから、カロリー計算に基づく食生活の改善だけでは、絶対に体脂肪を落とすことはできないのです。

男のダイエットはまず運動から

ちょっと難しい話になりますが、脂肪細胞にあって脂肪を分解する働きをするのが、「ホルモン感受性リパーゼ」です。

このホルモン感受性リパーゼは、アドレナリンやノルアドレナリンによって活性化され、脂肪の分解を活発にします。

また、これらのホルモンが細胞に働きかけるために、アルファとべータの受容体が作用します。

アルファ受容体は脂肪分解を抑制し、ベータ受容体は脂肪分解を促進します。

アルファ受容体は皮下脂肪組織に多く、ベータ受容体は腸間膜の脂肪組織に多いのです。

以上のことから、ホルモン感受性リパーゼは、主に運動によって分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンによって作用し、ベータ受容体は腸間膜の脂肪組織に多いことから、男性の特徴である「内臓脂肪型」の場合は、痩せるためにどうしても運動が不可欠となります。

特に、食後の運動などを含め、交感神経を有効に刺激することが必要です。

さて、もうみなさんおわかりですね。

女性向けのダイエット雑誌に「カロリー計算」が多い理由が。

これは、ある意味で当然のことなのです。

つまり、皮下脂肪が男性に比べて多い女性には、ダイエットに運動の効果があまり期待できないのです。

ですから、どうしても「1日に必要なカロリーは?」ということになるのです。